ニッチ・ドッグスポーツ
アジリティーボールの手引き
                    ドッグスポーツ愛好会/2013年7月記

■アジリティーボールの概要
 フライジリティーは、海外ではニュージランドやアメリカなどの一部地域で楽しまれているアジリティーとフライボールをミックスしたようなニッチ・ドッグスポーツです。このフライジリティー競技をもとに考案した種目がアジリティーボールです。フライジリティーと違ってコースを犬と一緒に走り、ハンドリングすることができ、ドッグスポーツ未経験のドッグオーナーも、気軽に参加できるようにアレンジした競技です。
 アジリティーボールは競技スポーツとしての楽しみ方ばかりではなく、レクレーションスポーツとして、健康づくりに主眼をおく人たちにも親しみやすいニッチ・ドッグスポーツです。フライジリティーを犬のしつけ教室に通っているドッグスポーツ未経験犬や初心犬(者)にもより参加しやすい競技とすることで、ドッグスポーツのすそ野の広がりとともに、人と犬の生活の質の向上(QOL)に貢献することを目指します。
 各部門には、ハードルとトンネルによる簡易なコースで行うノービスクラス(初級クラス)、アジリティー競技のノービスクラスレベルのコースを参考にしたコースによるアベレージクラス(中級クラス)、アドバンストクラス(上級クラス)と、リード付きでも参加できるサブ・ノービスクラス(初歩クラス)を設けます。
 競技はフライボールのフィールド規格を利用して、障害は基本的にアジリティー規格のハードルなどを使用し、障害間やハードルの高さはフライボールを参考にして行います。アジリティーボールは基本的にJKCが採用しているフライボールのホップアップ(クラフト)式ボックスを使用して行います。。競技の順位はゴールタイムと障害ポイントにより、獲得ポイント計算式により割り出し決定します。

                   


サブノービスクラスのコース例

 競技種目と基本的なルール

 カテゴリーはスモールクラス(犬の体高35cm未満/バーの高さ20cm)、ミディアムクラス(犬の体高35cm以上45cm未満/バーの高さ30cm)、ラージクラス(犬の体高45cm以上/バーの高さ40cm)となります。
●シングル競技
 犬1頭とハンドラー1名のユニットによる競技。次の3部門/4クラスにより競技を行い、記載していないルールは通常行われているフライボールとアジリティーのルールをもとにして実施します。

□クラス

・サブノービスクラス(初歩クラス)
 リード付きでハンドラーが犬と並走できます。サポーターもコース内に入れます。おや つを持つのもOKです。アジリティーハードル4台によるほぼストレートなコースで行 います。ボールまたはダミーを空中キャッチまたは咥えた場合は10点獲得です。
 サブノービスではハードルの戻りの1台目/1点、2台目/2点、3台目/3点、4台 目/4点の得点障害(20ポイント制)とし、順番通りに通過します。障害が4台を超 える場合はゴールハードルから逆算して得点障害を決定し、残るハードルはそれぞれ1 点とします。同点の場合はゴールタイムの速いペアが上位となります。制限時間を設定 します。
・ノービスクラス(初級クラス)
 リード無しでハンドラーが犬と並走します。ハードルやトンネルで構成された簡易なコ ースで行います。ハンドリングにサイドチェンジのテクニックが、必要なコースになり ます。
・アベレージクラス(中級クラス)
 アジリティー競技のノービス・レベル1を基準にしたハードルとトンネルにより構成さ れたコースで行います。
・アドバンストクラス(上級クラス)
 アジリティー競技のノービス・レベル2を基準にしたコースで行い、スラロームやタッ チ障害が設置されることもあります。

 各クラス共通ルール

○アジリティーのように制限時間を設定します。それまでに獲得したポイントは有効です。
○標準タイムを設定し、このタイムを超えてから通過した障害得点は加算されません。
○バーの横幅は120cmです。ただし、競技を2レーンで行う等の場合、横幅60cm になることもあります。
○障害間は4m〜6mを基準にします。
○ハードルの順番間違いや逆跳び、障害不通過による拒絶や失格の判定はありません。改 めて正しい障害を跳ばせてください。ただし、ハードルの順番間違いや障害不通過をし たままゴールした場合は、障害ごとに2秒をゴールタイムに加算します。
○障害得点は復路の通過障害を対象とし、往路の通過障害は加味されません。往路でバー 落下などをした障害は通過する必要はありますが、ポイント障害の対象とはなりません。
 競技犬がボールまたはダミーを咥えたまま障害を通過した場合に、スラローム、タッチ 障害:5点/トンネル:3点/ロングジャンプ、タイヤ:2点/ハードル:1点を通過 ごとに加算します。トライアジを除き、ボールまたはダミーを咥えないで、通過した障 害の点数は、障害獲得点として加算されません。
○バー落下、障害不通過はゴールタイムにそれぞれ2秒を加算します。
○往路のハードルでバー落下(+2秒)があって、戻りで再び同じハードルを通る場合は ウィング間を通過する必要がありますが、獲得点は発生しません。不通過の場合はゴー ルタイムに2秒加算となります。
○アドバンストクラスではハンドラーが、ボックスの一番手前の障害の延長線上のライン から先に出て、ハンドリングすることはできません。フットフォルトの場合はゴールタ イムに5秒加算となります。ただし、ジャッジの判断でこのルールを採用しないで競技 を進行することもできます。

●獲得ポイントの計算(1/100秒で四捨五入とします)
 速さ=距離÷時間を応用し、この距離の数値を100として計算します。
 計算式:100÷ゴールタイム+障害得点
 例)18秒50でゴールし、障害得点5点、バー落下1本、不通過障害1台の場合、そ れぞれ2秒が加算となり、
 100÷(18.50+2(バー落下分)+2(不通過分))+5=9.44
 が、獲得ポイントです。得点の多い選手が上位となります。

■フライアジの主なルール
○ボールは原則硬式テニスボールを使用します。小型犬の場合は、硬式テニスボールタイ プなら小さなボールでもOKです。会場でボールは用意しますが、好きなボールの持ち 込みはOKです。(やわらかいボールは誤飲防止のため不可)
○出場ユニットがボックスローダーを用意することとします。ボックスローダーが用意で きない場合はスタッフが行うことも可能です。また、フライボールボックスやフライボ ールマシーンを動かないように固定し、ボックスローダーがいない状態で競技を進める ことがあります。
○ボックスは会場でも用意しますが持ち込み可能です。ボックスはホップアップ(クラフ ト)式ボックスまたはフライボールマシーンにて行いますが、持ち込みによるタッチパ ネル(アメリカ)式ボックスによる参加は可能です。
○ボールを咥えないまま戻りの障害を通過してもペナルティはありませんが、障害得点は 加算されません。

■その他共通ルール
○胴輪の装着も可能で、首輪などの装着基準はフライボールなどのルールに準じます。
○ハンドラーは犬と一緒にハードルを跳ぶことはできません。
○電子計測による競技では、途中でセンサー間を通過した場合は失格です。

                 




ノービスクラスのコース例
アベレージクラスのコース例




アドバンストクラスのコース例